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Corning® TransportoCellsTM 新たなラインナップ:動物Oatp1b系とヒトOATP1B1変異型コーニングインターナショナル株式会社 ライフサイエンス事業部
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Corning TransportoCells は品目ごとに単一SLCトランスポーターをHEK293細胞で一過性発現する使い切り型の遺伝子導入細胞で,凍結状態で供給する.解凍/プレーティング後48時間だけトランスポーターを発現するので,この時間内に基質取り込み試験を行う.安定発現細胞株のように継代維持の必要がなく,必要な時に細胞を解凍してアッセイを行える.既に重要なヒトSLCトランスポーターの発現系をそろえているが,このほど動物のOatp1bとヒトOATP1B1変異型の製品を追加した.
Ⅰ 動物Oatp発現系
ヒトとサル,イヌ,ラットではOatpトランスポーターの種類と発現量にも種差があることが報告されている(1).それらの分子的特性を検討する目的で表1に示す3種類の動物Oatp1b発現系を製品化した.いずれの系でも十分に10を越える高いuptake ratio(トランスポーター発現細胞での取り込み活性/コントロール細胞での取り込み活性)が得られている.
図1はグラフに示す7種類の基質に関してヒト,ラット,イヌ,サルの各Oatp発現系による取り込み速度の差異,すなわち基質選択性を示す.
表2は2種類の基質に関する4種類の動物種Oatp1bの基質親和性(Km)と最大活性(Vmax)を示す.
図2は各種Oatp1b発現系によるE17βG取り込みに対するcyclosporin A阻害効果とrosuvastatin取り込みに対するgemfibrozil阻害効果を示すグラフである.
まとめ
- 既存のヒトOATP1B1発現系と新たに構築した動物Oatp1b発現系の特性を検討した結果,これらの間にははっきりした基質取り込み特性の差があることが示された
- 基質選択性に関する比較をしてみると,多くの基質ではサル,イヌ,ラットの順でヒトOATP1B1に近かったが,E17βGではイヌOatp1b4の取り込み速度が最もヒトと異なった.
- Oatp分子による基質親和性(Km)の差は最大取り込み速度(Vmax)の差に比べると小さかった.
- 基質取り込み対する阻害剤の効果は化合物により特有である.ただし検討した基質/阻害剤の組み合わせ二組で,イヌOatp1b4の挙動が他の動物種Oatp分子と異なる傾向が見られた.
(本内容は資料2に詳述)
Ⅱ ヒトOATP1B1変異型発現系
OATP1B1は遺伝的に多型な分子で,特に二つのよく見られる一塩基変異(c.388A>G,c.521T>C)から4種類のハプロタイプを生じる(*1a,wild-type allele(c.388A-c.521T),*1B(c.388G-c.521T),*5(c.388A-c.521C),*15(c.388G-c.521C)).*15ハプロタイプは活性減少していて,たとえばc.521CC genotype を有する人でのスタチンAUC増加により示されている(図3).Corningでは従来よりOATP1B1*1aの発現系を提供して来たが,新たに*5発現系と*15発現系を製品化した.
図4は3種類のOATP1B1発現TransportoCellsによるF-MTX(fluorescein methotrexate)取り込みの速度である.併行して各発現系におけるOATP1B1タンパクの発現量を同分子固有ペプチド配列の定量により測定したところ,タンパク発現量には差異はなく,従って図3の活性の違いはトランスポーター分子の発現量に基づくのではなく,各タンパクの活性に基づくものであることが分かった.
Ⅲ まとめ
- ヒトOATP1B1*1a,OATP1B1*5,OATP1B1*15発現系の間でHEK293細胞でのトランスポーター発現レベルには差はなかった.
- 一方でOATP1B1*1a発現系に比べ,*5と*15発現系では標準的な基質(E17βG,F-MTX)とスタチン類の取り込み能が低下していた.発現量に差はないことより,取り込み能の違いはトランスポーター分子の活性差によると考えられる.
- これらのOATP1B1*5,*15 発現 TransportoCells は,その野生型発現系と併用することにより,トランスポーター遺伝子変異が薬物動態に及ぼす影響を調べるツールとなる.
(本内容は資料4に詳述)
参考文献・資料
- Wang, L., Prasad, B., Salphati, L., Chu, X., Gupta, A., Hop, C., Evers, R., and Unadkat, D. Interspecies Variability in Expression of Hepatobiliary Transporters across Human, Dog, Monkey, and Rat as Determined by Quantitative Proteomics. Drug Metab. Dispos. 43: 367-374. 2015.
- Li, N., Cooper, K., Wang, J., Bourgea, J., and Patten, C. In Vitro Characterization of Species Difference of Organic Anion-transporting Polypeptides. Poster 273 in ISSX2015.
- Niemi, M., Pasanen, M. K., and Neuvonen, P. J. Organic Anion Transporting Polypeptide 1B1: a Genetically Polymorphic Transporter of Major Importance for Hepatic Drug Uptake. Pharmacol. Rev. 63: 157-181. 2011.
- Li, N., Wang, J., Cooper.,, Bourgea, J., Singh, R., Creegan, T., Stresser, D., Crespi, C., and Patten, C. Use of a Novel Cell-based Model to Study the Impact of Genetic Variants of OATP1B1 on Drug Disposition. Corning Incorporated. Life Sciences. Corning Incorporated. Life Sciences. Poster M1027 in AAPS2016.
※ 資料 2,4 はコーニングインターナショナル(株)ライフサイエンス事業部にご請求下さい.