展望
日本薬物動態学会 フェローに選んで頂いて
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平成26年1月より,日本薬物動態学会会長・千葉 寛先生率いる学会第13期において,会長指名理事として頂き,DMPK活性化委員長を拝命しました.理事としての指名のみならず,今般,フェローに推薦するとのご連絡を頂き,地方大学の一教員の立場で今後,どのように学会に貢献していけばよいのか,と悩んでおります.
私をフェローに選んでいただいた根拠となる学会活動は本学会のOfficial JournalであるDMPKにつき,現DMPK編集長をお務めの山崎浩史先生と共に今日の基盤作りのお手伝いをしたことであると思います.PubMed収載にしたこと,電子投稿化したこと,2008年の初めてのインパクトファクター(2.641)取得を通じ,DMPKを国際的に認知される道筋をつけたかな,と思います.この一連の流れを思い起こすとき,英文誌の初代編集長・林 正弘先生,本学会事務局長でいらした大塚峯三先生に支えて頂いたことに触れずに通ることはできません.岩手医科大学薬学部に異動して以来,遺伝子多型のみならず,遺伝子配列によらない薬物代謝酵素のエピジェネティクスに基づく発現調節がどの程度薬物動態の個体差に寄与するかを評価したいと考えています.また,6年制薬学教育を受けた学生を臨床現場で通用し,臨床研究に加われる人材に育て上げるかに心を砕いています.6学年学生を本学附属病院各種診療科に派遣し,教授回診,医療面接,ベッドサイドでの服薬指導に加わる実習「実践チーム医療論」に関与するとき,薬物動態学会が扱う科学は,薬剤師側からの処方提案の基盤であると痛感します.微力でありますが,薬物動態を背景に患者さん中心の医療を考えることができる人材育成に身を置けていることに感謝しています.岩手医科大学薬学部出身者が日本薬物動態学会の発展に貢献できたらどんなによいだろうか,と望みます.
末筆になってしまいましたが,このような私をご推薦下さった大森 栄先生,太田 茂先生,千葉 寛先生に深く感謝申し上げます.