Newsletter Volume 40, Number 2, 2025
はじめに
2025年度が始まりました.薬物動態の世界に新しく加わった皆さん,ようこそ! 思う存分研究活動に没頭してご活躍されることを願っています.20世紀の頃からこの世界にハマっておられる同志諸君,これからもチャレンジする心を忘れずに進んで参りましょう.
さて最近,AIなるものを公私ともに使うようになりました.あのプロンプトとかいうやつは結構曲者で,さらにAIの回答は一見理路整然としているので,つい鵜呑みにしてしまいそうになったりで,使いこなすまでに上達するのはまだまだ先のようです.情報収集・整理が容易な時代が来てしまった今,知識・経験値が高いだけは余り役に立たず,これからは発想力・創造力がますます試される時代が来るんだろうなーーーと思い,AIに相談したところ,「自分で頑張れ!!!」(意訳)とのお言葉を頂戴しました.
本ニュースレターでは,最新の研究成果や学会活動の報告など,皆様に有益な情報をお届けして参ります.引き続き,ご支援・ご協力のほど,どうぞよろしくお願い申し上げます.(M.T.)
動態研究に取り組むNEW POWER
“ピンチはチャンス”の先に到達した薬物動態研究~新規放射性標識法を用いた架橋型人工核酸の薬物動態評価~
積水メディカル株式会社 創薬支援センター 動態グループ
菊池高弘
積水メディカル株式会社の菊池高弘と申します.この度は,日本薬物動態学会ニュースレター「動態研究に取り組むNEW POWER」へ寄稿する機会を頂戴し,編集委員の皆様をはじめ,関係者の方々に感謝申し上げます.私は2014年に富山大学の薬学部に入学し,学士課程は水口峰之教授主宰の構造生物学研究室に,修士課程では東田千尋教授主宰の神経機能学領域に所属し,タンパク質結晶構造解析や,慢性期脊髄損傷の運動機能障害改善を目的とした生薬由来物質の研究を行いました.修士号を取得した後,2020年に積水メディカル株式会社に入社し,この4月で6年目となります.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)
今さら聞けない標的タンパク質分解誘導剤(Targeted protein degrader, TPD)の体内動態研究
第2回:経口吸収性を指向したBifunctional Protein Degraderの化合物デザイン
アステラス製薬株式会社 非臨床バイオメディカルサイエンス
大﨑史雄
前回に引き続き,New modalityの研究開発における薬物動態研究入門の第三弾として,「標的タンパク質分解誘導剤(Targeted protein degrader)」の話題について書きます.Targeted protein degraderは,主にがん領域における研究開発がここ数年で活発化しており,期待・注目されている新たな「低分子」モダリティです.本シリーズでは,その特徴的な性質を薬物動態およびトランスレーショナル研究の観点からどのように評価し,臨床での有効性を予測していくかについて,全三回にわたりご紹介しています.第二回は,Targeted protein degraderの一種,Bifunctional Protein Degraderについて,文献情報を元に,今回は特に良好な経口吸収性を指向した化合物デザインの際に考慮すべきポイントについて述べていきます.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)