[Regular Article]
Makino, C., et al.
構造中央に1,2,4-オキサジアゾール環を持つDS-8500aは,オキサジアゾール環の開裂をはじめ広範に代謝を受けることがわかっている.そこで,オキサジアゾール環の両側をそれぞれ放射標識した化合物を計2種用意し,ヒトおよびサルHot ADMEを実施した.その結果から,ヒト・サルではオキサジアゾール環の開環に腸内細菌が関与することが示唆された.また,ヒト・サルの血漿中では,アミド加水分解体が主代謝物であることが判明した.In vitro試験で腸内細菌関与の種差を解明(ヒト・サル>ラット)し,また,アミド加水分解の責任酵素はFAAH2(ラットで欠損)が主,一部CES1であることを見出した.Non-CYP代謝はまだ解明されていない点も多く,種差に関する情報も限られている.今回得られた知見を広げ,オキサジアゾール環の還元代謝や加水分解代謝に関してさらに検討を続けたいと考えている.
[Regular Article]
Yamazoe, Y., et al.
CYP2C9はワルファリンや非ステロイド消炎薬を含む多くの物質の代謝に関わっています.これまでに医薬品を代謝するチトクロームP450については,発現系標品を使って代謝特性が詳細に調べられてきました.私たちはこれらの情報を再利用して基質側から医薬品を代謝するチトクロームP450の基質結合部位を再構築する方法で10種のチトクロームP450のテンプレートシステムを作ってきました.酵素内に入ってから基質が再配置される仕組みを導入することで,予測精度が向上し,CYP1A1, CYP1A2, CYP2E1, CYP3A4, CYP3A5およびCYP3A7が関わる99%以上の反応についてテンプレート上での基質配置を再現することが出来ています.今回はCYP2C9の代謝反応を解析してテンプレートシステムを構築しました.CYP2C9が関わる450以上の反応を調べて適用性を確認しました.代謝における部位選択性だけでなく,異分子基質による反応亢進現象についての機序解析結果も示しています.
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