受賞者からのコメント
ベストポスター賞を受賞して小野薬品工業株式会社 ニューロロジー研究センター
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この度は,日本薬物動態学会ベストポスター賞を賜り,大変光栄に存じます.御審査頂いた選考委員の先生方に心より御礼申し上げます.研究題目は「ヒト不死化細胞血液脳関門共培養モデルの開発とその薬物脳移行性予測への応用性検証」であり,in vitro実験と数理モデルを組み合わせたヒト脳内薬物濃度予測法の開発に取り組んでいます.中枢創薬において,血液脳関門を介した薬物の中枢移行性予測は重要な課題です.この課題に対し本研究では,ヒト不死化細胞を用いたin vitro血液脳関門モデルを開発し,本モデルが薬物のヒト中枢移行性予測に有用であることを明らかにしました.今後,開発したヒト血液脳関門モデルを創薬に実装し,研究現場に立ちはだかる「薬物の脳送達に関する様々な課題」を克服することを目指しています.この挑戦の実現には,高度な専門性や多角的な観点が求められるため,私達の力だけでは決して成し遂げることができません.そこでこの度,東京薬科大学,千葉大学,エーザイ株式会社,小野薬品工業は,産学共同研究体制「The “Beyond the Blood-Brain Barrier” – Research Quartet (B4-Quartet)」を立ち上げました.B4-Quartetはアカデミアの基礎研究と製薬企業の創薬応用研究のオープンイノベーションであり,代表を務める降幡知巳教授(東京薬科大学)と協働して中枢神経系疾患治療薬の創出に貢献したいと考えています.
今回,研究成果をこのような形で評価頂いたことを大変嬉しく思うのと同時に,一番に想うことは支えてきてくれた方々への感謝です.研究面に限らず,私の周りには志が高く寛大な諸先輩方を始め,共に競い支え合える同志の存在があり,私はとても恵まれた環境にいると心から実感しています.これからも,皆様への感謝を忘れることなく,企業研究者であるからこそ,なお一層社外の研究者と広く関わりを持ち,新しい知見や技術を貪欲に取り入れようとする姿勢を大切にし,「企業人として,科学者として,ヒトとして」魅力的に成長していきたいと思います.