Newsletter Volume 35, May, 2020

日米合同薬物動態学会

写真:小森高文

Symposium 8: First Disclosure of a Clinical Candidate with Emphasis on ADME Attributes

エーザイ株式会社 筑波研究所 薬物動態室
小森高文

 医薬品開発のFirst-in-human(FIH)試験前に,非臨床動態サイエンスから定量的に予測されるヒトPKおよびPKPD解析より得られる臨床推定薬効用量を基に,安全域と共に用量設定を議論することは,成功確度の高い医薬品開発を実現する上で極めて重要なプロセスの一つである.このような非臨床の動態サイエンスのトランスレーションが,臨床早期に得られるバイオマーカーを活用したPKPD解析,更に大規模臨床試験に向けた投与処方の最適化に繋がり,開発期間の短縮及び開発費用の低減に繋がることが期待されている.

 また,近年の医薬品開発では従来の低分子化合物に加え,ペプチドを含めた中分子医薬,抗体医薬やAntibody-Drug Conjugate(ADC)に代表されるバイオロジクス,DDS,核酸医薬,細胞医薬等の新しいモダリティへの戦略展開が急速に進んでいる.それに伴い,製薬企業の薬物動態部門においても医薬品候補化合物のスクリーニングツール並びに薬物動態プロファイリングに必要なin vitro/in vivo/in silico評価,定量分析,M&Sをはじめ,各技術基盤・評価アプローチにおいてもパラダイムシフトが起きている.加えて,各モダリティの特徴・動態特性を勘案した,高質な薬物動態試験・評価項目を,FIH試験あるいはNDA申請に向けて適宜適切に策定し,効率的且つ戦略的に推進することが益々重要になってきている.

 このような背景のもと,本シンポジウムでは,ファイザー,第一三共,武田薬品工業,アムジェンといったグローバル製薬企業の創薬現場で,今,まさに進行中で話題の医薬品候補化合物に関して,前臨床探索から臨床開発における最新の事例・知見を薬物動態に関する具体的なデータと共にご紹介頂きます.将来的な医療ニーズの充足が益々期待されるオンコロジー領域,中枢神経領域も含まれ,また,医薬モダリティとして低分子医薬からADC等の高分子医薬までカバーされた,広範にわたる非常に興味深いプログラムになっています.創薬現場の最先端で活躍されている演者の先生方の生の声・意見をタイムリーに伺う稀な機会であります.是非,本シンポジウムへご参画頂き,活発な議論・意見交換をお願いできればと思います.

 最後に,本シンポジウムで共有・議論される最新の貴重な情報が,今後の薬物動態研究の発展・創薬活動に活かされ,グローバルヘルスへの貢献に繋がることを期待します.また,アカデミアおよび製薬企業における薬物動態研究の今後の方向性,加えて,刻一刻と変化する医薬品開発における薬物動態研究者が担う役割・重要性・ミッションを考える機会にもなれば幸いです.

Symposium 8: First Disclosure of a Clinical Candidate with Emphasis on ADME Attributes

Co-Chairs: Amit Kalgutkar, Pfizer Inc., Cambridge, Massachusetts, USA and Takafumi Komori, Eisai, Tsukuba, Japan

  • Small Molecule Agonists of the Human Glucagon-Like Peptide-1 Receptor
    Amit Kalgutkar, Pfizer Inc., Cambridge, Massachusetts, USA
  • Preclinical Pharmacokinetic Characterization of Trastuzumab Deruxtecan
    (DS-8201a), a HER2-targeting ADC with a Novel DNA Topoisomerase I Inhibitor
    Masataka Oitate, Daiichi Sankyo Co., Ltd, Tokyo, Japan
  • Target Engagement of CNS Acting Cholesterol 24-hydroxylase Inhibitor Soticlestat
    (TAK-935)
    Maki Miyamoto, Takeda Pharmaceuticals, Fujisawa, Japan
  • KRas G12C Inhibitor AMG510
    Speaker to be confirmed.