Newsletter Volume 35, 3, 2020

日米合同薬物動態学会

写真:田端健司

Symposium 1: Microphysiological Systems (MPS) and Systems Pharmacology

アステラス製薬株式会社 モダリティ研究所
田端健司

 本シンポジウム提案に至った背景をお話したい.近年の薬物動態研究分野における新しい話題として,ヒト模倣細胞培養システム(MPS)やシステムズ薬理解析(QSP)が取り上げられる機会が多くなってきました.創薬研究におけるヒト臨床予見性向上を目指したものがメインテーマとなり,薬物動態研究者がバックグランドとして強みにしてきた細胞アッセイ評価やモデリング&シミュレーションが活かされる研究分野として注目されてきております.その中で日本薬物動態学会でもディレクターズ・イニシアティブ・セッション(DIS)としてQSP-DISおよびMPS-DISが数年前より企画化され議論が闊達になってきていました.この分野の研究は世界中に拡がりつつあり,多様な学問領域と専門性が求められるために,研究開発には異分野協働などが必要になってきます.昨年開催の第34回つくば年会のメインテーマ「科学技術の交差点 〜生体模倣による薬物反応システムの解明と再生医療技術の応用〜」がまさにこのスコープを題材にした初めての年会であったと思います.その際,QSP-DISおよびMPS-DISを企画している中で,co-chairになるAmin Rostami-Hodjegan教授(マンチェスター大)とISSX-JSSX合同年会でQSP-MPS技術を一つのセッションとして議論することで技術の融合を促進しようと意気投合しました.演者には,日米それぞれMPS-QSPの実利用に熱心な研究者を招待して,技術の利点や創薬研究における利活用の状況を講和いただくことで,聴講者がよりアクセスしやすい技術であると理解を深める内容としました.薬物動態および毒性研究における本技術の活用例を聴講できるまたとないチャンスと思いますので,奮って参加いただければと思います.

Symposium 1: Microphysiological Systems (MPS) and Systems Pharmacology

Co-Chairs: Kenji Tabata, Astellas Pharma Inc., Ibaraki, Japan and Rostami-Hodjegan, Centre for Applied Pharmacokinetic Research (CAPKR) at University of Manchester & Certara UK, Simcyp Division, Manchester, United Kingdom

  • MPS: What are they? How do they add value beyond and above traditional systems?
    Murat Cirit, Javelin Biotech, Woburn, Massachusetts, USA
  • Microphysiological Systems as a Source of Human Organ Models: Potential and Challenges for Implementation in Drug Discovery and Development
    Kazuhiro Tetsuka, Astellas Pharma Inc., Tsukuba-shi, Japan
  • MPS: What have they contributed to quantitative toxicology? What more can they do?
    Thomas Hartung, Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland, USA
  • Current Status of MPS-QSP from Industrial View
    Wataru Obuchi, Daiichi Sankyo Co., Ltd., Tokyo, Japan