Newsletter Volume 32, Number 3, 2017

DMPK 32(3)に掲載された各論文の「著者から読者へのメッセージ」

[Regular Article]

Structure-Based 3D-QSAR手法を利用したヒトconstitutive androstane receptor活性化化合物の正確な予測

Kato, H., et al., pp. 179–188.

 核内受容体constitutive androstane receptor(CAR)は,CYPをはじめとする多くの薬物代謝酵素およびトランスポーターの発現を制御しており,特に,創薬において開発候補化合物のCYP2B6誘導リスクを見極める上で,CARの活性化評価は重要である.本研究では,CYP2B6誘導評価のための有効的なin silico手法確立を目的とし,CAR活性化能を指標としたstructure-basedの3次元定量的構造活性相関(3D-QSAR)モデルの開発を行った.ヒトCAR蛋白構造へのドッキングに基づいた35化合物の分子アライメントを用い,comparative molecular field analysis(CoMFA)モデルを構築した結果,予測値と実測値の高い相関が確認された.

 本モデルは創薬研究へ適した幅広い化合物群の予測が可能であり,創薬早期ステージから,CYP2B6誘導に関連する薬物相互作用リスクを低減した医薬品候補の選択に有益な知見を提供できると期待される.