展望
19th North American ISSX/29th JSSX meetingにおけるPost-Doctoral Poster Awardを受賞して熊本大学大学院薬学教育部薬剤学研究室
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この度は,19th North American ISSX/29th JSSX meetingにおきまして,Post-Doctoral Poster Award を頂き誠にありがとうございました.選出して頂いた選考委員の諸先生方に,心より御礼申し上げます.
私は,修士1年時に,「出血性ショック輸血時における肝チトクロムP450機能障害に対する一酸化炭素付加赤血球の有用性」というテーマを頂き,丸山 徹教授,小田切優樹教授(現熊本大学名誉教授、崇城大学薬学部長)の指導のもと研究生活をスタートさせました.
COは,当時の私もそうであったように,毒ガスという認識が一般かと思います.しかしながら,生体内で微量に産生されるCOは,ストレスに過敏に反応し,生体恒常性に寄与する優れたガスメディエータであることが知られることとなり世界中で注目されています.私の研究では,このCOをより安全かつ安定に生体内デリバリーすべく赤血球 (RBC) 中のヘモグロビンにCOを付加したCO付加RBC (CO-RBC) を作製し,これを様々な病態に応用できないかというものです.はじめに着手した病態としては,虚血再灌流 (I/R) 障害,中でも大量出血後の輸血に伴うI/R障害に対するCO-RBCの有用性評価でした.また特に肝でのI/R障害に焦点を当て,その機能評価の一環として肝における重要な機能タンパクであるチトクロムP450 (CYP) に及ぼす影響評価を行いました.このようにざっと研究の概要を書きましたが,この研究テーマにあるCO は当研究室が初めて扱うものであったことや,当時研究のノウハウも全く分からない状態であった私には,どう取りあってよいものか不安の一途でありました.関連論文の検索・熟読,そしてモデル動物作成だけを半年以上行っていたことを思い出します.あれから,博士課程,研究員として研究が軌道に乗ったことも壁に当たり足踏みしたことも多々ありましたが,思えばこの最初の期間というものが私の研究者として,そして1人の人間として大きく成長出来た基礎を築いたものと信じております.今後も何事にも挑戦する気持ちを忘れずに頑張りたいと思います.
本研究を行うに際し,終始,ご指導・ご鞭撻を賜りました小田切優樹教授,丸山 徹教授に深く感謝いたします.日々,ご指導を頂いております渡邊博志准教授,末永綾香特任講師,異島 優助教ならびに田口和明崇城大学医療薬剤学助教に甚大なる感謝の意を表します.