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第20回年会 2005マウイJSSX- ISSX合同学会印象記

  1. 小川 久美子(広島大学医歯薬学総合研究科薬学専攻 博士課程前期2年)
  2. 佐藤 和子(共立薬科大学大学院 薬剤学講座)
  3. 中村 志保(名古屋市立大学大学院薬学研究科 薬物動態制御学分野)
  4. 清水 万紀子(昭和薬科大学 薬物動態学研究室)
  5. 満井哲也(中外製薬株式会社 前臨床研究部)
  6. 宮島敦子(国立医薬品食品衛生研究所、薬理部)
  7. 下山田 明子(株式会社 クレハ 生物医学研究所 薬理・動態研究室)

1. 小川 久美子(広島大学医歯薬学総合研究科薬学専攻 博士課程前期2年)

今回初めて国際学会に参加させて頂きました。学会会場は、気候が暖かく青い海と緑に囲まれた開放的な場所で、様々なシンポジウムやポスター発表が屋内と屋外の両方で行われており、心地良い風を受けて様々の国の方々が自身の研究内容を熱く語るとともに、お互いに意見交換をする姿が印象的でした。

私達は、肺胞II型上皮細胞を用いたアルブミンのエンドサイトーシス機構解析(左:岡本)、および抗てんかん薬バルプロ酸とカルバペネム系抗生物質併用による薬物間相互作用の分子機構解析(右:小川)という内容でポスター発表をしました。昼と夕方の計2時間の発表時間で多くの方々から質問を頂き、各国の大学や製薬企業および病院薬剤部の先生方と研究内容についてディスカッションするとともに有益なアドバイスや臨床での現状についても伺うことができました。英語は流暢に話すことができず、身振りを交えての説明も多々ありましたが、世界で同様の研究をされている方との意見交換はとても有意義で興味深く、貴重な体験となりました。また、学会中には薬物動態分野を学ぶ大学院生同士の交流も深まり、お互いの研究内容について話すことで大変刺激を受け、楽しい時間を過ごすことができました。最後になりましたが、国際学会に参加する機会を与えて下さいました皆様に心より感謝致します。

2. 佐藤 和子(共立薬科大学大学院 薬剤学講座)

私にとって初学会の参加が、今回のJSSX、ISSX合同の学会でした。初めての学会で、かつ海外での発表ということだったので、実際に参加するまでは不安と緊張感でいっぱいでした。しかし、実際に参加し日ごろなかなか聞くことのできない先生方の発表や、ポスターを拝見しているうちに、不安が研究に対する好奇心に変化していくのを感じました。また、今回はポスターでの発表をさせていただいたのですが、ポスター発表の質問時間はランチタイムと夕方の2回に分かれており、ゆとりのある時間の中で先生方や他大学の学生の方とDiscussionをすることができました。Discussionを通じて、多くの情報を得ることができただけでなく、今後研究を続けていく中で情報を共有できる多くの方に出会えたことが私にとって大変良い機会であったと思いました。今回の学会で得たものを糧に、今後も研究に邁進していきたいと思います。しかし、ただ一つ残念なことがありました。それはポスター発表で、ポスターを掲示するだけで質問時間に発表者が不在になっているところがあったことです。学会は研究者が出した成果を公に発表できる場なのですから、もっと積極的に参加して学会全体を盛り上げて欲しいと感じました。来年はチェジュ島で学会が開催されるということで、日本動態学会がますます発展することを心よりお祈り申し上げます。
(筆者は写真の右から2人目)

3. 中村 志保(名古屋市立大学大学院薬学研究科 薬物動態制御学分野)

第20回日本薬物動態学会/第13回北米ISSX合同学会にポスター発表として参加させていただきました。私自身、学会での発表は初めてで大変緊張しましたが、多くの方にポスターを見ていただき、様々なアドバイスをいただけたことを大変ありがたく思っています。本年度はJSSX/ISSX合同学会ということもあり、これまで論文を読むという形でしか接点のなかった海外の諸先生方とも直接ディスカッションできたことには本当に感動しました。マウイ島という開催地の開放的な雰囲気もあってか、レセプション等でもたくさんの出会いがあり、本当に有意義な時間が過ごせたと思います。今回の合同学会に参加できたことで、研究に対する思いが今まで以上に大きくなりました。

今回の合同学会参加にあたり、ご指導いただきました先生方に感謝すると共に、今後のJSSX/ISSXの更なるご発展を心からお祈り申し上げます。

今回記念すべき第20回日本薬物動態学会/第13回北米ISSX 合同学会に参加させていただきました。学会の開催されたマウイ島ワイレアマリオットホテルはリゾートであり、美しい海が見渡せる、非常に眺めのよい場所でした。気温も秋に入った日本に比べ暖かく、学会参加者のなかにはアロハシャツで参加の方もいました。合同学会の前日にあたる10月22日には日本セッションが行われました。私は縁あって、日本セッションの運営に参加することになり、非常に貴重な体験をさせていただきました。学会運営が綿密に計画され、多くの人が細やかに気を配っていることに驚きました。日本セッションの準備時にはパソコンの不調など心配することもありましたが、大きなトラブルもなく、日本セッションは進んだと思います。合同学会では幅広いテーマのセッションが行われましたが、中でもトランスポーターに関するセッションが盛況であると感じました。私は薬物代謝酵素に関するセッションを中心に拝見していましたが、特に新生児期から小児期、成人における薬物代謝酵素に関する研究は興味深く拝聴しました。また、in silicoの研究も多く、その必要性を感じました。ポスター発表では、非常に多くの演題が立ち並び、興味のあるものを見ている時間が足りないと思うくらいでした。昨年から日本薬物動態学会でも講演要旨の英文化、英語での口頭発表の推奨が始まりましたが、今回の合同学会で、海外の研究者とディスカッションする機会を得て、その重要性をさらに痛感しました。

5. 満井哲也(中外製薬株式会社 前臨床研究部)

ハワイはマウイ島にて開催された20th JSSX-13th North American ISSXのJoint Meeting(2005/10/23~10/27)に参加した。会場となったWailea Marriott Resortは連日青い海に沈む夕日を眺めることができるリゾートムード満点なホテルであった。絶好のコンディションの中、リゾートムードとは対照的な熱いディスカッションが英語で、日本語で連日行われていた。

今回のJoint meetingには、事前登録で1150余名が参加、そのうち日本からの参加者はアメリカ(600名弱)に次ぐ約400名と一大勢力であった。4日間のセッションでは、Oral発表が79演題(うち日本からの発表が28演題)、Poster発表が約680演題(うち日本からの発表が約260演題)であり、日本発の研究成果が大いに本大会を盛り上げた。

本大会ではトランスポーターに関連する演題が多く見受けられた。中でもスタチン系高脂血漿剤と併用薬との相互作用に関する研究がいくつかあり、相互作用の原因は代謝酵素阻害(CYP2C, 3A)および肝取り込み側のトランスポーター阻害(OATP1B1)によるという報告がなされていた。スタチン系薬剤にはその胆汁中排泄にもトランスポーター(MRP2, BCRP)が関与しており、これらトランスポーターを介した相互作用にも注意が必要なようである。臨床における重篤な副作用発現は創薬段階で予測し、できる限り排除する必要があると考えるが、トランスポーターに関する相互作用の定量的予測法はまだ確立されておらず、製薬企業としてもどのように評価系に取り込んでいくか悩ましいところである。また,今回のPOSTER AWARD COMPETITIONではPostdoctoral とPredoctralに分けて優秀な演題がピックアップされており,First Placeに輝いたものはいずれもトランスポーターに関連する研究であった。

本大会では若い研究者の参加が目立った。若いころから他国の研究者と議論することは,大いにプラスの刺激になるだろうと感じた。

来年度は,第21回JSSX 年回が11/29-12/1に江戸川区総合区民ホールで、第14回のNA ISSX Meetingが11/22-11/26の日程でプエルトリコのリオデジャネイロで開催される。JSSX・ISSXのますますの発展を祈念して参加報告とさせていただきたい。

loha~。

6. 宮島敦子(国立医薬品食品衛生研究所、薬理部)

20th JSSX Meeting/13th NA ISSX Meetingにポスター発表で参加させていただきました。ハワイの空港の入国審査で、学会に参加すると説明した後、これから400人以上の日本人が同じ学会に参加すると話したところ、審査官が驚いていました。日本人がマウイに向かう目的は、リゾートばかりではありません。

年会は国内で行われるJSSX年会に比べ、国際学会ということもあり、自分たちの研究をアピールしたり、海外の研究者だけでなく日本の研究者の方々とも、通常の年会以上にディスカッションすることができ、非常に有意義でした。海外から参加された研究者の方々には、数多くある日本からの演題を丁寧に見て下さったことに感謝いたします。

今回はアメリカのマウイ島で合同年会開催ということで、気合いを入れて参加された方もいれば、逆に費用や日程の都合により参加を断念せざるを得なかった方もいたことでしょう。今後、期待したいことは、合同年会でなされたようなフォーマルウエアを必要としないフレンドリーな年会の運営とフリーディスカッションの充実です。また、今回の年会でもPre-, Postdoctral向けのAwardsはありましたが、日本からの応募には制度的にも慣れておらず敷居が高い感じがしました。是非、少しでも多くの学生や若手研究者がこのような合同年会に参加する機会を得て、留学や国際力の向上に役立つよう、旅費の援助などJSSX 独自のAwards等を検討していただければと思いました。

最後に、バンケットの夜の花火は、まさに合同年会を祝福する素晴らしいものであったことをお伝えし、今回の年会参加にあたりご指導いただきました先生方に感謝すると共に、今後のJSSXの更なるご発展を心からお祈り申し上げます。

7. 下山田 明子(株式会社 クレハ 生物医学研究所 薬理・動態研究室)

今回私は,海外での学会は初めて,会社からは単独参加,さらにリゾート地Mauiということもあり,様々な不安を抱えながらの参加となりました.会場ホテルに到着すると,南の島の元気な太陽が降り注ぎ,仕事で来たことを忘れそうになるくらいでしたが,一方たどり着いた会場内は驚くくらいの寒さでした.周囲を見るとノースリーブ姿の女性がいたり,一方ではセーター姿の男性がいたりと実に様々.ヒトの「個体差」を改めて肌で感じました.薬を同じように飲んでも違いが出るのは納得です.さて,発表プログラムは興味ある演題が数多くあり,ポスターも盛り沢山という状況でしたが,日本セッションの最後に「見所・聞き所」を聴いたお陰で,どちらを聴くか迷っていたシンポジウムを選んだり,ポイントを絞ったりして聴くことができました.中でも特に印象に残ったのは,ADMEと毒性を繋ぐ研究の発表でした.「想定外」のIdiosyncratic Drug Reactionの詳細な解析結果や,Normalではわからなかった患者や病態モデルでの特殊な動態・毒性についての報告は,大変興味深く聴きました.安全かつ有効に使うための情報を備えた薬を創出するため,動態研究者が果たすべき役割について再認識できたのは,私にとって最大の収穫であったと思います.最後になりましたが,本合同年会に参加するに当たり,様々な方々にご理解とご協力を頂きましたことを感謝するとともに,日本薬物動態学会が益々世界へ向けて発展することを祈念致します.