2011年5月12日(木)から13日(金)まで、第25回日本薬物動態学会ワークショップを東京大学鉄門記念講堂にて開催致します。今回のテーマは、「Stop! 毒性要因による新薬開発中止」です。副題には、「薬物動態研究者にできることは何か?」と付記しました。
このテーマを選定する背景には、製薬企業における新薬開発の中止理由(Phase-1段階)が、2000年以前は薬物動態不良が主原因だったのに対し、それ以降は大幅に減少したこと、しかしながら一方で、相対的に毒性(副作用)原因による中止理由が大幅に上昇したこと、その結果、実質的な上市確率が向上していないことが挙げられます。
まず、企業の薬物動態関連の研究者の皆さんに3つ質問させて下さい。(1)御社で中止となった新薬候補化合物の毒性は、薬物動態特性とは無関係でしたか?(2)もし無関係でなかった場合、薬物動態研究者が毒性研究者ともっと濃密に協働し、もっと早く深く検討しておけば、その中止を回避できた可能性はありませんでしたか?(3)あるいは、そのような協働研究によって毒性原因を解明し、別の化合物に適切に置き換えできた可能性はありませんでしたか?
今回のワークショップでは、毒性発現の奥底に潜んでいると思われる薬物動態原因に焦点を当てて皆さんで考え、議論できるよう企画しました。そして、毒性原因解明に繋がる研究手段や成果について討議したいと考えています。毒性発現を低減させる有力な手段の一つは、毒性研究者と薬物動態研究者の融合(協働)かもしれません。その意味では、動態関連学会には無縁であった毒性研究者の皆さんにも是非ご参画頂ければ幸いです。また、アカデミアの先生方からも、新しい知見や考え方をお教え頂きたいと期待しています。
ワークショップ初日(午後)には、ADMETの最先端研究についてマイクロRNA、iPS細胞、およびメタボロミクスに関する3演題を予定しています。2日目の午前は、毒性研究者と動態研究者の連携について3演題を予定しています。製薬企業の薬物動態研究者1名に加え、毒性研究者2名をお呼びしております。そして、午後には、毒性回避戦略に焦点をあてた演題を準備しました。トランスポーター、毒性バイオマーカー、特異体質性代謝物などに着目し、新薬中止ストップに向けた本質的な討議にどっぷり漬かりたいと思います。
ご講演には、いずれも第一線でご活躍中の素晴らしい先生方にお願いしております。講演はいずれも45分とやや長めに設定しました。その後質疑応答を5分、それでも不足のときは休憩時間の10分を利用できます。新しいアイデアや突破口がきっと得られるはずですので、どうぞ皆様、カジュアルウエアで奮ってご参加下さい。
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