日本薬物動態学会 第22回ワークショップ

第22回日本薬物動態学会ワークショップ゚開催に向けて

Sudo

 

 

第22回ワークショップ代表世話人
須藤賢一(第一三共株式会社、薬物動態研究所)

 2008年4月17(木)から18日(金)まで、第22回日本薬物動態学会ワークショップを昭和大学・上條講堂にて開催いたします。今回のワークショップでは「ヒト毒性予測と薬物動態の新知見・新技術、反応性代謝物、未来技術、薬事規制」をテーマに取り上げ、医薬品の副作用予測のための新しい研究について議論を試みたいと思います。
 近年、非臨床試験および臨床試験のために莫大な研究資源を投入して開発された医薬品が、その副作用のために市場から撤退する事態が続いております。一方、臨床研究段階においても副作用が原因でドロップアウトする比率は減少しておりません。医薬品には疾病の治療に対して優れた治療効果とともに高い安全性の資質が必須であり、製薬企業はこれらの期待に十分答えるためにさらなる研究データを蓄積することが求められております。
 これまでの薬物動態研究においては、反応性代謝物に起因する毒性発現や薬物相互作用の懸念に対して1990年代以降発展してきた新しい分析技術を応用した様々な評価研究が実施されてきました。一方、ヒトにおける安全性確認のための薬事規制でも、FDAのヒト代謝物の安全性試験ガイダンス案が提示され、今日まで活発な議論が展開されております。
 このような背景を考慮して今回の基調講演では、市場から撤退した医薬品群の背景や臨床現場における薬物性肝障害の現状および薬物毒性に対する生体側防御機構について、著名な3人の先生に講演をお願いしております。またFDAのヒト代謝物の安全性試験が話題となっておりますので、医薬品医療機器総合機構、FDA、製薬企業の3人の先生から、代謝物の安全性評価の効果的な対応策について講演をいただく予定です。また大学と製薬企業の研究現場からは、医薬品の副作用予測のために開発された新しい毒性評価系やその予測技術を三つのセッションに分けて議論することになっております。すなわち1日目は動物モデル系や遺伝子解析技術を駆使した新しい毒性評価系を討論いたします。2日目にはトランスポター関連の毒性予測研究の現況および反応性代謝物が関連するmetabolism−based inactivationによる薬物相互作用に対して各社の評価の狙いを議論したいと思います。また予測が極めて困難とされる特異体質性薬物毒性についても、日欧の製薬企業3社からその評価戦略を議論していただくことになっております。
 新しい薬理作用を有する高活性医薬品の開発が精力的に進められている現在、薬物動態研究者は安全性研究者を含む多くの関連分野の研究者と密接に連携して、メタボロミクスなどの網羅的解析手法を駆使して副作用リスクを回避していくことが必須の時代になりました。安全な医薬品創製を目指して日夜努力されている研究者の皆さんの活発な議論を期待しております。ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。