日本薬物動態学会 第19回ワークショップ予告

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第19回ワークショップは「創薬から臨床開発を強力に推進するPK/PDアプローチ‐Biomarkerの有効利用」を主題として、プログラム案のごとく開催する予定です。未定演題については確定次第順次、学会ホームページでお知らせいたします。

日 時:2005年4月14日(木)、15日(金)
場 所:昭和大学・上條講堂(品川区旗の台1−5−8)
代表世話人:小林 智(協和発酵工業梶@医薬研究センター)
主 題:創薬から臨床開発を強力に推進するPK/PDアプローチ‐Biomarkerの有効利用‐
主催:日本薬物動態学会

2005年薬物動態学会ワークショップの企画主旨について

代表世話人 小林 智 (協和発酵)

2005年4月14日(木)および15日(金)に、第19回日本薬物動態学会ワークショップを開催致します。今回のテーマは「創薬から臨床開発を強力に推進するPK/PDアプローチ−Biomarkerの有効利用−」を主題としております。

薬物の薬理反応(強度)と生体内における薬物の濃度(推移)を関連づけて解析する、いわゆるPK(Pharmacokinetics)/PD(Pharmacodynamics)試験は、医薬品開発ならびに臨床現場において (1)薬物動態を評価し、(2)さらに有効性および安全性との関連を明らかにし、有効かつ安全な治療を実現するために重要である。
平成13年6月に日本の厚生省より通知された「医薬品の臨床薬物動態試験について(医薬審発第 796号)」の中において、PK/PD試験の有用性について言及されております。薬物が血中から消失した後も作用部位(レセプターなど)に継続して存在して薬効を現す場合や、作用部位に到達してから薬効発現までに時間を要する場合などのように、血中濃度推移に対応して薬効発現が変化しないと考えられる被験薬についてはPK/PD試験が特に重要であると記載されている。
さらに2003年4月にFDAよりPK/PD試験に関するガイダンス“Guidance for Industry; Exposure-Response Relationships−Study Design, Data Analysis, and Regulatory Applications”が公布され、PK(Exposure)/PD(Response)試験がどのような場合に有用であり、どのような臨床試験のデザインが推奨されるかなどのFDAの見解が示されている。
FDAのガイダンスでは、PK/PD試験は、臨床での有効性ならびに安全性を裏付ける有用な情報を提供しうるとされており、特に、薬物動態の個体差が大きかったり、血漿中動態が非線形性を示す薬物などでは、殊に有用とされています。また、内因性要因(人種差、疾患、遺伝子多型など)あるいは外因性要因(食事、喫煙、併用薬剤など)により、血漿中濃度推移の変化が生じる薬剤の場合、用法・用量の調節にPK/PD試験の情報が有用となります。さらに、小児用製剤の開発においては、臨床反応が成人と同様であれば、PK/PD試験を利用することで、すでに得られている成人での有効性のデータを小児へブリッジングすることが可能になります。さらに、すでに承認された薬剤の用法・用量の変更、剤型追加、新投与経路の開発などにもPK/PD試験の情報が有用であります。
PK/PD試験実施に際して、重要な点の一つとして、臨床における指標の選択があります。当然のことながら、薬剤投与によりどのように症状、生体機能あるいは生存率が改善したかを反映するサロゲートエンドポイントおよびエンドポイントが最も信頼性の高い指標と言えます。しかしながら、近年、バイオマーカーの利用が積極的に行われています。バイオマーカーは疾患によって引き起こされる生物学的プロセスに関連すると考えられる生理学的、病理学的な変化を指標とするものです。従って、PK/PD試験を成功させるにはバイオマーカーがクリニカルエンドポイントにどの程度反映するものであるかが重要となってきます。すなわち、バイオマーカーが臨床におけるエンドポイントを十分予測可能となれば、それは、いわゆるサロゲートエンドポイントにもなり得ると考えられます。PSAなどバイオマーカーを用いたPK/PD試験は、その後の臨床試験の安全かつ有効な用量選択などに有用であり、総じて医薬品開発を進める上で、非常に重要となると考えられます。
また北海道大学薬学部鎌滝哲也教授が2004年ファルマシア No.12に述べておられる「サイエンスにもとづいた実学」を目指すものでもあろう。

以上に述べたように、薬物のPKとPDの関係を明らかにすることは、医薬品開発を理論的に、かつ円滑に進めるばかりでなく、医療現場においても、個々の患者への医療(テイラーメード医療)の観点からも、極めて重要であると考えられます。今回のワークショップにおきましては、PK/PDを医薬品開発に積極的に取り入れている欧米の研究者にも協力して頂いております。さらに大学、医療現場ならびに製薬企業において、第一線で活躍されておられる諸先生方にご講演をお願い致しました。是非、多くの方にご参加頂き、活発な討論に加わって頂き、有意義なワークショップにしたいと考えます。