会員の皆様へ  

旧財団法人日本学会事務センター破産に伴う、
元理事長、会長、専務理事、監事との和解成立のお知らせ


日本薬物動態学会
会長 辻 彰

 昨年8月に、当学会の事務委託先の旧財団法人日本学会事務センター(学会事務センター)が破産いたしました。破産に伴い、事務代行サービスの履行が不能となるとともに学会事務センターの預かり金の返還不能にかかる一般会計の589,029円、第18回ワークショップの残余金の1,693,385円が債権として発生しました。本件につきましては、昨年11月の金沢での年会にあわせて開催された総会・評議員会で報告するとともに、その議事録をDMPK20巻2号に掲載し、会員の皆様にお知らせいたしました。なお、平成16年4月7日平成16年度決算に関する財務委員会で、一般会計でさらに579,800円の支払いがないにもかかわらず帳簿上支払い済みとなっていることが、決算検査で判明したため、その分が新たに債権となりました。
 破産に伴いすべての財産等の管理は、破産管財人の竹村弁護士に委ねられました。竹村弁護士に常置代理人(弁護士)数名を加えた破産管財人グループによって、財産の保全と破産に至った経緯等が調査されました。それらについては、4回にわたる債権者集会で報告され、第1回の債権者集会(平成16年11月29日)には池田理事、大塚事務局長が、第2回(本年3月7日)には池田理事、大塚事務局長が、第3回(本年4月27日)には大塚事務局長が、第4回(本年6月15日)には大塚事務局長が、それぞれ参加し情報収集に当たりました。
 竹村破産管財人の報告では、今回の事件のように、使い込みでなく(子会社で使い込みがありましたが、これは別件で刑事告訴)、長い間に渡っての放漫経営の場合には、責任の所在を明らかにすることが極めて困難とのことです。竹村弁護士(法的に学会事務センターに十分入られ、調査され、沢山の資料を有する)も警視庁などと十分に相談されたそうですが、刑事告訴は難しいと判断されました。他方、破産学会連絡協議会でも、弁護士に可能な限りの情報を提供し、刑事告訴が可能かどうか検討されました。その報告会にも大塚事務局長が参加しましたが、告訴するだけの資料を竹村弁護士から得たとしても、公訴時効(平成3年ないし同4年の事象が起点になる以上、すでに一部時効が成立。継続犯という見方も考えられるけれど、意思決定がその頃なされている)及び費用対効果(莫大な調査費用を掛けても、債権の回収という所期の目的を達成することが困難)から、刑事告訴は難しいとのことでありました。
 一方、破産に伴い学会事務センターの各学会に対する事務代行サービスの履行や預かり金の返還不能となった事態を踏まえ、学会事務センターの元役員の光岡知足(元学会事務センター理事長)、本田 宏(同会長)、寺尾繁美(同専務理事)、永井恒司(同理事)、諸井勝之助(同監事)、村上 悟(同監事)の6名が、事態の収拾と学会活動の正常化に寄与するために金員の拠出を申し出がなされました。 金員の総額は5,850万円であり、その内訳は、光岡知足(3,000万円)、本田 宏(2,000万円)、寺尾繁美(200万円)、永井恒司(100万円))、諸井勝之助(350万円)(同監事)、村上 悟(200万円)でありました。これを受けて、竹村弁護士から、これらの金員を用いての和解が提案されました。当学会はこの提案に対して、理事会において和解に応じるか否か審議し、種々の状況から和解に応じることを決定しました。竹村弁護士からの提案にもありますが、約300の学会が一丸となって和解交渉に臨むのは不可能と考えられましたので、被害を被った学会の有志で構成される和解交渉委員会(代表 木村彰方 日本組織適合性学会会長、東京医科歯科大学教授)等に交渉を一任しました。和解交渉委員会では、和解に応じるかどうか299の学会にアンケート調査を行いましたところ、231学会が和解に応じ、19学会が和解に応じない、49学会が保留することになりました。なお、19学会のうち5学会は理事らの責任を追及するとのことであります。これらの調査結果を受けて、理事代理人と和解交渉委員会との間で交渉が繰り返された結果、5,850万円の預託金の配分方法も決定し、僅かではありますが債権額の5.9%が和解金として当学会に支払われることになりました。
 和解交渉が成立したことから、本年6月15日に開催された第4回債権者集会において、裁判長から本日を持って「本件破産を終了廃止する」との宣告がなされ、旧財団法人日本学会事務センターの破産問題は終結しました。
 なお、本年6月30日、債権額(新たに見つかった債権額は不算入)の5.9%(13,5000円弱)が学会指定の銀行口座に振り込まれているのを確認しました。
 会員の皆様には、和解に至る経緯をお知らせするとともに、ご了解いただきたくお願い申し上げます。
 最後に、ほとんど無償で、約300の学会をまとめ、理事会側の代理人と和解交渉にご尽力された和解交渉委員会の諸氏に深甚の敬意と感謝を表します。