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第14期会長挨拶

omori 日本薬物動態学会は、故・北川晴雄先生が第1期会長となり1985年に設立されてから30年という歴史を刻んで参りました。これまでの14名の会 長を挙げてみるとそうそうたるメンバーであることがわかります。そしてこの度、千葉 寛会長の後を引き継ぎ、大森 栄が2016年1月より14期会長に就 任致しました。会員の皆様にご挨拶を申し挙げます。

 本学会は、創薬および医薬品の適正使用における薬物動態研究を礎として、人々の健康の 快復・維持・増進を図ることを使命として活動を行っております。現在では約2000名の会員を擁し、学術領域においても高く評価されてきておりますのは、 これまでの30年の会員一人一人の学会に対する強い思いと各領域に対する飽くなき真理追究の努力によるものであると思います。初期の成果は主に生物薬剤 学、薬物動態学分野にと大きく括られた領域でのものでありましたが、薬物代謝酵素、トランスポータと分子レベルに展開し、さらにそれらは蛋白レベルから遺 伝子レベルへと発展して参りました。その間における本学会の研究成果は世界的に評価されるものであり、この領域において世界をリードして参りました。さら にPGx、分析技術、バイオマーカー探索と発展し現在に至っております。

 このように展開され成果を上げてきた薬物動態研究の将来を見据え 考え見ますと、会員は大学、企業、行政、臨床と大きく4つの分野に属する方々から構成されております。各々の研究環境の中でのこれからについては、属する 分野によって異なるものもあろうかと思います。しかし、ヒトを中心とした研究を施行していくことでは共通ではないでしょうか。ヒトでの体内動態、薬効、安 全性、個体差、人種差の評価についてはこれまでも、重点的に研究が行われてきましたが、これからさらに期待したいところであります。また、これからの創薬 を考えてみると、分子標的薬やこれまでの低分子医薬品から高分子医薬品への移行の問題等も浮かび上がってきます。それは創薬の概念を変える部分もあり、体 内動態研究にも変化を及ぼすであろうことは疑う余地もありません。それに対応可能な、分析技術、動態理論、解析力などの発展が必要であります。新たな技術 として、iPS細胞、RNA解析などが必要となってきます。これからの薬物動態研究の幅はさらに広がってくるでしょう。そしてその研究はこれまでよりもさ らに臨床に近いところで行われてほしいものです。

学会の発展のために設立されておりますDISが、年会において会員の方々に様々な刺激を与えてくれることを期待しております。

 第14期は、昭和薬科大学の山崎浩史先生が副会長に選出されました。山崎先生と共にこの薬物動態学会の活性化に努力していく所存です。特に山崎先生には学術、編集の分野、国際化といった方面では東北大学の寺崎先生にご活躍していただきたいと思っております。

  本学会は、2016年1月に任意団体から一般社団法人へと移行致しました。これは前期の法人化WG委員長である高野先生と中心としたメンバーのご尽力によ るものであります。社会的にも認知されることとなった法人化後の日本薬物動態学会は、まだまだ、よちよち歩きと言っても過言ではありません。私はこの2年 の任期の間に、念願であった法人化後の本学会の基盤充実に、総務委員長の齋藤先生と共に汗を流してしていきたいと思っております。

 本学会のさらなる発展のため、これまで以上に会員の皆様の本学会への協力をお願いする次第であります。

日本薬物動態学会第14期会長
大森 栄
信州大学医学部附属病院薬剤部