山添 康会長の後を引き継ぎ、2010年1月より会長に就任しました。会員の皆様にご挨拶申し上げます。
日本薬物動態学会は1985年に設立されて以来着実に発展し、現在会員数は2000人を超える学術団体として活発な活動を展開しております。この数年間、会長の強力なリーダーシップと担当役員の尽力によって、将来を見据えた様々な改革が次々と進められ、学会のアクテイビテイは量的・質的に大きくレベルアップしてきました。本学会の学問的レベルは今や世界的にも高い位置にあり,英文学術誌Drug Metabolism and Pharmacokinetics (DMPK) の発刊、年会の充実・活性化に向けた取り組み等に伴って国際化に向けた一層の発展が期待できる状況に至ってきました。すなわち昨年6月トムソン社からDMPKにimpact factor 2.641が付与されましたが、これは想定していた以上の高い評価であり、学会としてたいへん喜ばしいことであります。また昨年の第24回年会(京都)では、日本からの情報発信をより明確にし、国際化に向けた流れを一層推進するために口頭発表は原則英語としましたが、課題はあるものの、海外からの演題と参加者が増える等、盛会裡に終えることができました。
薬物動態学の広がりと深まりは、創薬と医療現場のニーズとも合致するものであり、また学問的体系化と社会的貢献に繋がるものと考えています。更に,薬物療法の有効性、安全性は医学・医療の重要課題の一つでありますが、薬物動態学の果たすべき役割は極めて大きいと言えましょう。このような背景と基本方針に沿って今期の役員人事等を進め、大学、病院、製薬企業を含めて強力な新体制を組織することができました。日本薬物動態学会がこれまでの勢いを加速させながら、医学・薬学関連領域の中でも特徴ある、魅力的な学会として更に発展を遂げられるように、そして次の世代の人材育成に注力しながら会務を執行したいと考えております。現在、薬学系大学では6年制の教育改革、医療現場では医療崩壊、製薬企業では国際競争の激化等の諸問題について、厳しい経済基調の中でそれぞれ改善に向けた取り組みが進められています。本学会では発想を転換し、特徴ある学術活動を通して、夢のある、元気の出る学会を目指そうではありませんか。
会員の皆様の忌憚のないご意見と一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
日本薬物動態学会 第11期会長
乾 賢一 (京都薬科大学)