Newsletter Volume 34, Number 4, 2019
はじめに
令和元年の夏をいかがお過ごしでしょうか?夏が終わると,日本で開催されるラグビーワールドカップが始まります.ラグビーのルールに詳しくないのですが,これから勉強すればラグビー観戦を楽しむことができると信じています.世界中から集まるラガーマンたちに声援を送って,盛り上がりたいものです.東京オリンピックも,いよいよあと1年を切りました.
さて,今号のトピックスでは,日本薬物動態学会第33回年会/MDO国際合同学会のレギュレーションDISのシンポジウム「薬物動態・毒性領域における新規評価ツールとその規制(Novel drug developmental tools on DMPK/toxicity and their regulation)」での発表内容を,ご講演いただいた先生方にニュースレター上にて再掲していただきました.第一三共株式会社薬物動態研究所の渡邊健悟先生に「Micro Physiological System (MPS) の医薬品開発への応用可能性」,国立医薬品食品衛生研究所薬理部の石田誠一先生に「OECDの動向を踏まえた動物実験代替法として,in vitro試験による全身暴露評価を行う新規技術としてのMPSの可能性」,国立医薬品食品衛生研究所薬理部の諫田泰成先生に「ヒトiPS細胞技術を活用した新たな安全性評価法の開発と国際標準化への取り組み」,独立行政法人医薬品医療機器総合機構再生医療製品等審査部の野中瑞穂先生に「iPS細胞加工製品の非臨床安全性評価」の内容について,それぞれご解説いただきました.また,「動態学会ニュースレター発:レギュラトリーサイエンス情報」のコーナーでは,国内外のガイドラインに関するレギュラトリーサイエンスの情報について最新動向を紹介しております.是非ご活用ください.
「NEW FACE - NEW POWER」では,金沢大学医薬保健研究域薬学系の中野正隆先生より,薬物動態・薬物代謝研究との出会いから,オリジナリティのある研究の展開,今後の展望についてご寄稿いただきました.
また,「企業で活きる薬物動態の基礎講座(ニュースレター編)」では,前号に引き続き,アステラス製薬薬物動態研究所システムズ薬理研究室の大石昌代先生より「いまさら聞けない母集団薬物動態(PPK)解析の基礎 – PPKのすばらしさを実感しよう!(4回シリーズ その3)」をご寄稿いただきました.今号では,実際の解析事例に沿った具体的なPPK解析の手順及び注意点について,解説していただきました.
最後に「DMPK 34(4)に掲載された各論文の著者から読者へのメッセージ」がありますのでご活用ください.
今号もまた,興味深い内容が揃っています.ぜひお楽しみください.(Y)
特集記事のご紹介
トピックス
新規発見や手法の開発など学問の発展に伴い,医薬品等の研究開発から市販後の評価項目やその手法は絶えず進化しています.それに呼応して,日米欧の規制当局およびICH等からの規制情報も随時更新されています.ここでは,医薬品開発に用いる最新の技術・知見,医薬品審査の規制情報及びそれらに関連する情報のトピックスを紹介していきます.本記事を通じて,会員各位の業務に有効にお役立ていただければ幸いです.
NEW FACE - NEW POWER
「NEW FACE - NEW POWER」では,産学問わず今後の活躍が大いに期待される新任・若手の先生に御登場いただくことで,会員の皆様に広く先生を知っていただく機会とするとともに,新たな活力・刺激を本会にもたらすことを趣旨としています.そこで執筆いただく先生には,これまでの御略歴を含めて自己紹介をしていただくとともに,御自身の研究の展望や本会・本分野への期待・提言などを忌憚なく積極的に綴っていただくことをお願いしております.御登場いただく先生方はいずれも薬物動態学の将来を担う希望の星と期待されます.本コーナーが,本会において『新たな若いPOWERを全体で育んでいく風土』を醸成し,新旧会員の相互発展の一助となることを大いに期待しています.自薦・他薦問いませんので,是非本コーナーでの執筆希望を編集委員までお寄せください.
企業で活きる薬物動態の基礎講座
このコーナーは日本薬物動態学会第33回年会にて好評を得た学会活性化委員会「企業で活きる薬物動態の基礎講座」のセッションでご発表いただいた大石昌代先生に誌上にてその内容を再構成していただいたものです.このセッションは,薬物動態研究で必要な知識や技術を分かりやすく解説する講座として設けました.これらの知識や技術の中には,身近な人に平易に解説してもらうことが容易でなく,本で調べても記載していないことも多々あります.そこでこれらを企業で実際に活用しておられる薬物動態のプロフェッショナルを講師に迎えて解説していただき,その内容を本誌上にて再現しました.企業研究者だけでなく,これから企業での薬物動態研究を目指す学生にとっても貴重な情報になると思われます.ご期待ください.