Newsletter Volume 34, Number 3, 2019

Newsletter Volume 34, Number 3, 2019

はじめに

 特段の混乱もなく元号が平成から令和に変わり,2ヶ月がたとうとしています.新しい時代には,56年ぶりとなる東京オリンピック・パラリンピックの開催や20年ぶりとなる紙幣の刷新が予定されており,期待に胸が膨らみます.皆さんにとって令和が飛躍の時代となることをお祈りします.

 今号では4つの特集記事を紹介します.日本製薬工業協会医薬評価委員会基礎研究部会からの「製薬企業が考える薬物動態」(4回シリーズ)の最終回は,「医薬品開発の効率化に向けた非臨床薬物動態の役割」の内容で,日本たばこ産業株式会社の倉橋良一先生にご執筆いただきました.製薬企業を対象とした非臨床PK/PD解析に関する調査結果の解析から導きだされた薬物動態担当者と他部門との連携の重要性が論じられています.

 「動態学会ニュースレター発:レギュラトリーサイエンス情報」のコーナーでは,ガイドラインなどのレギュラトリーサイエンスの情報について最新動向を紹介しております.是非ご活用ください.

 続く,「NEW FACE - NEW POWER」では,田辺三菱製薬株式会社の安原秀典先生より,入社後の業務を振り返り,今後の展望について語っていただきました.

 「企業で活きる薬物動態の基礎講座(ニュースレター編)」では,前号に引き続き,大石昌代先生より「いまさら聞けない母集団薬物動態(PPK)解析の基礎 − PPKのすばらしさを実感しよう!(4回シリーズ その2)」をご寄稿いただき,PPK解析の基本原理について,非臨床の薬物動態研究者や学生にとってもわかり易く紹介いただきました.

 最後に,「DMPK 34(3)に掲載された各論文の著者から読者へのメッセージ」がございますのでご活用いただければ,と思います.

 ニュースレターは原稿執筆など,会員の皆様のご協力で成り立っております.令和の新時代もご支援の程,何卒よろしくお願い申し上げます.

 

特集記事のご紹介

トピックス

 新規発見や手法の開発など学問の発展に伴い,医薬品等の研究開発から市販後の評価項目やその手法は絶えず進化しています.それに呼応して,日米欧の規制当局およびICH等からの規制情報も随時更新されています.ここでは,医薬品開発に用いる最新の技術・知見,医薬品審査の規制情報及びそれらに関連する情報のトピックスを紹介していきます.本記事を通じて,会員各位の業務に有効にお役立ていただければ幸いです.

NEW FACE - NEW POWER

 「NEW FACE - NEW POWER」では,産学問わず今後の活躍が大いに期待される新任・若手の先生に御登場いただくことで,会員の皆様に広く先生を知っていただく機会とするとともに,新たな活力・刺激を本会にもたらすことを趣旨としています.そこで執筆いただく先生には,これまでの御略歴を含めて自己紹介をしていただくとともに,御自身の研究の展望や本会・本分野への期待・提言などを忌憚なく積極的に綴っていただくことをお願いしております.御登場いただく先生方はいずれも薬物動態学の将来を担う希望の星と期待されます.本コーナーが,本会において『新たな若いPOWERを全体で育んでいく風土』を醸成し,新旧会員の相互発展の一助となることを大いに期待しています.自薦・他薦問いませんので,是非本コーナーでの執筆希望を編集委員までお寄せください.

企業で活きる薬物動態の基礎講座

 このコーナーは日本薬物動態学会第33回年会にて好評を得た学会活性化委員会「企業で活きる薬物動態の基礎講座」のセッションでご発表いただいた大石昌代先生に誌上にてその内容を再構成していただいたものです.このセッションは,薬物動態研究で必要な知識や技術を分かりやすく解説する講座として設けました.これらの知識や技術の中には,身近な人に平易に解説してもらうことが容易でなく,本で調べても記載していないことも多々あります.そこでこれらを企業で実際に活用しておられる薬物動態のプロフェッショナルを講師に迎えて解説していただき,その内容を本誌上にて再現しました.企業研究者だけでなく,これから企業での薬物動態研究を目指す学生にとっても貴重な情報になると思われます.ご期待ください.