Newsletter Volume 33, Number 4, 2018

Newsletter Volume 33, Number 4, 2018

はじめに

 地球温暖化の影響で,日本は亜熱帯に分類されてもよい気候になったと聞きました.実際,熱中症のニュースが続出ですし,また,平成25年8月30日から運用が開始された「特別警報」を何度も見聞きするようになりました.被災された方々を思うと心が痛みます.

 今号の「若者へのメッセージ」の第2回目(3回シリーズ)を伊賀勝美先生よりいただきました.今回のテーマは,「薬物の吸収性の確保」です.

 「トピックス」は,日本製薬工業協会医薬品評価委員会基礎研究部会からの「製薬企業が考える薬物動態」の第3回目(4回シリーズ)です.アステラス製薬株式会社の岩坪隆史先生よりいただきました.題名は「薬物相互作用ガイダンス/ガイドラインを踏まえた非臨床開発段階における臨床薬物相互作用予測への取り組み」です.

 続く「NEW FACE – NEW POWER」,お2方からのご寄稿で,九州大学大学院薬学研究院 宮内 優先生,アステラス製薬株式会社 佐藤公也先生よりいただきました.NEW FACE – NEW POWERでありながらも「人に歴史あり」,と感じます.

 「企業で活きる薬物動態の基礎講座(ニュースレター編)」は,3回シリーズの最終回として2つのご寄稿をいただきました.中外製薬株式会社 橘 達彦先生と加藤基浩先生の連名で,「PK/PD解析の基礎の基礎―データを見れば,モデルが見えてくる」,ならびに,武田薬品工業株式会社 平林英樹先生の「公式や手法を図に落とし込んで学ぶことの意義」です.いずれも薬物動態解析法に関して教科書であまり解説されていないことに踏み込んでいただいた読みごたえのあるご寄稿です.

 続きまして,「DMPK 33(4)に掲載された各論文の著者から読者へのメッセージ」がございますのでご活用いただければ,と思います.

 今後も読者の皆さまに有益となる情報をお届けできるよう取り組んでまいります.引き続きニュースレターのご愛読をよろしくお願い申し上げます.

特集記事のご紹介

若者へのメッセージ

 このコーナーは,研究の第一線を退かれた先生方が,現役時代どの様なことを考え研究を進められたのか,創薬研究の最前線はどうであったか,学会の運営にどの様にあたってこられたか等,後進に語りかけて頂ける様なシリーズを設けたいと思い「若者へのメッセージ」を企画したものです.若者とは若手研究者の事ではなく,メッセージを送る側から見た若者であり,年齢とは関係はありません.先達のメッセージから,ブレイクスルーのヒントが得られればと願っています.

トピックス

 新規発見や手法の開発など学問の発展に伴い,医薬品等の研究開発から市販後の評価項目やその手法は絶えず進化しています.それに呼応して,日米欧の規制当局およびICH等からの規制情報も随時更新されています.ここでは,医薬品開発に用いる最新の技術・知見,医薬品審査の規制情報及びそれらに関連する情報のトピックスを紹介していきます.本記事を通じて,会員各位の業務に有効にお役立ていただければ幸いです.

NEW FACE – NEW POWER

 「NEW FACE – NEW POWER」では,産学問わず今後の活躍が大いに期待される新任・若手の先生に御登場いただくことで,会員の皆様に広く先生を知っていただく機会とするとともに,新たな活力・刺激を本会にもたらすことを趣旨としています.そこで執筆いただく先生には,これまでの御略歴を含めて自己紹介をしていただくとともに,御自身の研究の展望や本会・本分野への期待・提言などを忌憚なく積極的に綴っていただくことをお願いしております.御登場いただく先生方はいずれも薬物動態学の将来を担う希望の星と期待されます.本コーナーが,本会において『新たな若いPOWERを全体で育んでいく風土』を醸成し,新旧会員の相互発展の一助となることを大いに期待しています.自薦・他薦問いませんので,是非本コーナーでの執筆希望を編集委員までお寄せください.

アドメサークル

 「アドメサークル 日本の薬物動態研究組織」は,企業または教育・研究・医療機関において動態関連の組織の立ち上げに関与した先生,あるいは主導的な立場でご活躍された先生方にご寄稿いただき,薬物動態学会として,そのご経験を共有することを趣旨とした記事を連載しております.単なる研究概要の紹介にとどまらず,研究に至った経緯や,その達成のためのエッセンスをご執筆いただいております.本記事が,会員の皆様にとって研究遂行のためのヒントとなれば幸いです.

企業で活きる薬物動態の基礎講座

 このコーナーは日本薬物動態学会第32回年会にて好評を得た学会活性化委員会「企業で活きる薬物動態の基礎講座」のセッションでご発表いただいた橘 達彦,加藤基浩および平林英樹の各先生方に誌上にてその内容を再構成していただいたものです.特に創薬現場での薬物動態研究で必要な知識や技術を分かりやすく解説する講座として設けました.基礎的な内容であればあるほど,なかなか人には聞きにくいものであり,本で調べても記載していないことも多々あります.企業研究者だけでなく,これから企業での薬物動態研究を目指す学生にとっても貴重な情報になると思われます.ご期待ください.