学会 道しるべ
19th North American ISSX Meeting, 29th JSSX Meeting
2014年10月19日〜10月23日
主催団体 | International Society for the Study of Xenobiotics, 日本薬物動態学会 |
会場 | Hilton San Francisco Union Square Hotel; San Francisco, CA, USA |
HP | http://www.issx.org/?page=JSSX_ISSX |
特色など | 薬物動態研究の最新情報を発表・議論する国際学会.基礎から臨床まで様々な背景を持つ産学官から多くの研究者が参加. |
初めてのISSX参加
私は大学院時代から定期的に日本薬物動態学会(JSSX)年会には,参加しているが,今回,初めて,ISSX北米大会に参加した.さらに,恥ずかしながら,初めてのアメリカでもあったので,結構,緊張感を持って,学会へ出発した.学会会場に着いて,驚いたのは,日本からの参加者の多さだった.もちろん,JSSX年会との合同大会であるため,予想できていたが,約250人もの参加人数であることは,予想以上だった.改めて,日本が,世界の薬物動態研究においての一翼を担い,活発に研究が行われていることを実感できた.さらに,その分野で研究活動ができる環境にいることについて恵まれていると感じた.
DDI規制文書の影響
ポスター発表,ショートコース,シンポジウムを通して,日米欧3極で発表されたDDI規制文書(案も含む)に関連するテーマが多かったのが本年会の一番の特色であった.創薬に携わっている製薬企業・CRO研究者は,3つの規制文書を目の前にして,日々悩んでいると思うが,規制文書の内容に基づいた解析事例など,具体的な発表を目の当たりにし,多くの議論ができたことは,非常に有意義な時間だった.この体験を活かし,CROの研究者として,試験を委託する研究者の方々が安心できるようなデータの取得,データに対する考察力を養えるよう,努めていきたいという思いを強くした.
ポスター発表における情報交換
ISSX北米大会への参加が初めてであるので当然発表も初めてであり,拙い英語がどこまで通じるか緊張して,「OATPのlong-lasting inhibition」のポスター発表に臨んだ.初めに隣のポスター示説者に声をかけられた.アメリカの研究者で,思った以上にフランクな感じで話しかけられ,発表の結論について肯定的な意見を述べられた.日本人同士だとどうしても改まって議論が始まる印象があるので,最初の議論で緊張感が解き放たれたことを記憶している.一方で,英語でうまく自分の意見を伝えることができない場面もあり,英語力を養う必要性を実感できる良い機会となった.
発表については,日本人の研究者とも様々な意見交換ができ,とても有意義な時間となった.発表テーマである「OATPのlong-lasting inhibition」については,他に発表している演題があり,注目されているテーマであることを実感した.DDI規制文書にも記載され医薬品開発においても重要度が高まっている項目であるため,さらなる検討を進めていく予定である.
研究者間の交流
国際学会に限ったことではないが,様々な研究者が交流を深めることができるのも,学会の醍醐味の一つであると思う.本年会でも多くの研究者の方々と出会い,再会し,刺激を受けたことは非常に感謝している.中でも,私の出身研究室である熊本大学薬剤学研究室の先輩である渡邊 博志先生が奨励賞,後輩である大柿 滋さんがPost-Doctoral Poster Awardを受賞したことは,研究者としてのモチベーションの向上に繋がった.さらに,Post-Doctoral Poster Awardの受賞者は,半数以上がアジア人だったと記憶している.日本だけでなくアジアの薬物動態研究者のレベルの高さが感じられたことは貴重な体験だった.
最後に,本年会への参加は,世界の薬物動態研究について実感できる良い機会となったと思う.読者の皆様もJSSX年会では体験できない感動を味わうために,ISSXの主催学会への参加を検討してみてはいかがでしょうか.
株式会社LSIメディエンス
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