情報共有と知の扉、交流の場としてのポータルツール
令和6年から日本薬物動態学会ニュースレターの編集委員長を務めさせて頂いております。2002年の第1期委員会(玉井委員長)による立ち上げ・創刊から、本年で22年目となります。この間、ニュースレターは第1期委員の先生方の精力的なご活動、またそれを引き継がれた歴代の委員長(第2期:山崎委員長、第3期:湯浅委員長、第4期:松永委員長、第5期:前川委員長、第6期:登美委員長)および各期の委員の先生方のご尽力により、本学会活動や関連学会、また最新の学術動向の情報が得られるサービスツールとして日々発展・改良を重ねながら、会員の皆様にご愛読いただいてきました。2015年以降は、DMPK誌のオンラインジャーナル化と連動する形で、より「手軽に」触れられる電子版のレターとしてリニューアルし、現在に至っています。前期に引き続き、第7期委員会も、製薬企業やアカデミア、病院に所属する多様なメンバーで活動をしております。今後も「肩ひじ張らず」に、「読んで楽しいニュースレター」づくりをモットーに、薬物動態や関連する先端科学の最新情報がタイムリーに得られ、会員の皆様にとって新たなアイデアを生むきっかけが得られるようなレターとなるよう、取り組んでいきたいと思います。
さて、改めて申し上げるまでもないことですが、近年、従来の低分子・抗体創薬から細胞、遺伝子治療、中分子、抗体薬物複合体(ADC)、改変抗体、核酸といった多様なモダリティによる新たな創薬の取り組みが進んでいます。このような背景の下、ニュースレターでは個々のモダリティの動態学的特性や、それを捉えて医薬品として開発を進めていく上で留意すべき点等についてわかりやすく概説する複数回のシリーズを前期より始めています。これまでに「細胞医療」や「ADC」について複数回のシリーズを掲載し、ご好評をいただいております。今後も他のモダリティについて、同様の連載を企画しておりますので、ご期待ください。
また、近年のAIの急速な発展とその活用による様々な産業でのDx加速化は論を待たないところですが、我々が従事する薬物動態研究の分野においては、AI、Robotics等の利活用に加え、高精度・高解像度の分析・可視化技術、ヒト細胞を使った高次培養系やシステムズ数理モデリングといった様々な先端科学技術を応用した試みがなされています。このような先端技術応用事例についても、今後のニュースレターでとりあげていきたいと考えています。更に、特に若手研究員の皆さんが、これまで薬物動態学を牽引されてきたレジェンドの先生方が何を感じて研究を進めてこられたかを学べるような企画や、会員の皆様がお互いを知り、相互交流を深めるきっかけとなるような企画(「アドメサークル」等)、医薬品開発を進める上で知っておかなければならないレギュラトリーサイエンス情報のご提供等も、継続して取り組んでいく予定です。
最後に、ニュースレターは編集委員からの情報発信だけでなく、原稿執筆など、会員の皆様のご協力で成り立っております。ニュースレターを通じて、本学会の活性化に少しでも貢献できればと考えておりますので、今後とも引き続きご支援・ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
ニュースレター編集委員長
長坂泰久
アステラス製薬株式会社