Newsletter Volume 38, Number 5, 2023
はじめに
ウクライナ情勢,物価高騰など政治・経済においては厳しい状況が続いておりますが,最近のスポーツ界では熱い話題が盛沢山です.バスケットボールのワールドカップでは,トム・ホーバス監督の指導のもとで選手が目覚ましい成長を遂げ,粘り強い試合展開で3勝を挙げることができ,見事自力でパリオリンピック出場を獲得しました.バスケットに続いてラグビーのワールドカップでも強豪国を相手に力強い試合展開で前回の世界大会に続いて予選リーグ突破にあと一歩まで迫っています.また,関西の話題で恐縮ですが,日本のプロ野球では,岡田監督率いる阪神タイガースが成長した若手選手を積極的に登用し,18年ぶりに”アレ”(リーグ優勝)に輝きました.同じ関西のオリックスバッファローズも3年連続のリーグ制覇となり,クライマックスシリーズの結果次第では,日本シリーズにおける関西ダービーが実現します.これらスポーツ界における目覚しい成果は,世の中を元気にしてくれますし,皆さんに勇気や希望を与えてくれると思います.
スポーツ界と同様に薬物動態をはじめとしたサイエンスの分野においても,研究者の創意工夫で文化・産業に有用な研究成果が出た時には,世の中の皆さんを活気づけられると思います.ニュースレターからは,このような薬物動態研究の最新情報やその研究の裏側,研究に打ち込む先生方の姿や思いに着目して,情報を発信していきたいと思います.今月号の記事も興味深い内容となっていますので,是非目を通してみてください.(S.O.)
動態研究に取り組むNEW POWER
薬物動態学を基盤とした毒性学研究
千葉大学大学院薬学研究院生物薬剤学研究室 竹村晃典
千葉大学大学院薬学研究院の竹村晃典と申します.この度は,日本薬物動態学会ニュースレター「動態研究に取り組むNEW POWER」へ寄稿する機会を頂きました編集委員の皆様をはじめ関係者に感謝申し上げます.私は,2010年に千葉大学薬学部に入学し,学部3年生の2013年1月に堀江利治教授(当時)が主宰されていた生物薬剤学研究室に配属いたしました.堀江利治教授は同年3月をもってご退職されましたが,私が研究室へ配属と同時に着任された伊藤晃成教授の御指導の下で博士課程まで肝毒性研究に従事しました.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)
今さら聞けない抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate: ADC)の体内動態研究
第2回:ADCの薬物動態評価 ~トラスツズマブ デルクステカンを例に~
第一三共株式会社 薬物動態研究所 永井陽子
こんにちは!前回から「抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate: ADC)の薬物動態研究入門」についてお届けしています.第二回目は,ADCの薬物動態に関する研究についてお伝えします.前回,癌領域においてADCは,ターゲットとなる腫瘍組織にペイロードを届け,正常組織でのペイロードの曝露を相対的に下げることをお話ししました.つまり,ADCはペイロード単体で投与する場合に比べて,体内分布に変化を与えることでtherapeutic windowを広げるモダリティーです.さらに,ADCの構成成分である抗体,リンカー,ペイロードそれぞれの構造および組み合わせにより体内動態が変化するため,ADCの研究開発において薬物動態研究の果たす役割は大きいと言えます.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)
アドメサークル
ようこそ北里大学薬学部薬剤学教室へ ~生の声、お聞かせします!~
前田和哉
アドメサークルは,日本の薬物動態研究組織をご紹介いただく企画です.今回は,北里大学薬学部薬剤学教室の前田和哉教授に,研究室や研究テーマを動画でご紹介いただきます.初めての試みとして,前田先生に多大なご尽力をいただいて完成した“力作”です.是非,ご覧ください.・・・(動画はNLホームページへ)