日米合同薬物動態学会
Symposium 9: Non-P450 enzymes金沢大学 医薬保健研究域薬学系
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医薬品開発において,候補化合物の代謝を特徴づけることは必須のステップとなっています.従来,主に酸化反応を触媒する主要薬物代謝酵素P450を中心に,研究開発が進んできましたが,P450以外の酵素(Non-P450酵素)が体内動態の制御に重要な役割を担っていることも少なくありません.しかし,グルクロン酸抱合を担うUDP-glucuronosyltransferase (UGT)以外のNon-P450酵素に関しては,各分子種の基質特異性,阻害特性,発現分布,個人差,種差などの基礎的な情報が十分とは言えない状況が未だ続いています.最近では,還元反応についても注目が集められています.そこで今回のNon-P450 enzymesセッションでは,アルデヒドオキシダーゼ,加水分解酵素,N-アセチル転移酵素に加えて,還元酵素も取り上げることとしました.
医薬品化合物の還元反応を触媒することで知られるaldo-keto reductase (AKR) ファミリーと short-chain dehydrogenase/reductase (SDR) ファミリーには,多くの分子種が存在します.これらのヒト肝臓中発現量の定量的評価と基質特異性,各酵素の寄与率を算出した最新のデータについて,深見達基博士に紹介いただきます.また,Bernd Clement博士からは,近年発見されたmitochondrial amidoxime reducing component (mARC) について紹介いただきます.mARC は,NADHを補基質として,N-オキサイドやヒドロキシルアミンなど,N-O構造を有する化合物の還元反応を担う酵素で,医薬品毒性との関係からも興味深いお話を拝聴できると思います.
佐能正剛博士からは,還元反応も酸化反応も担うaldehyde oxidase (AOX)について,肝臓における発現に顕著な種差が認められることから,ヒト体内動態を予測する動物モデルの評価と,AOXの阻害特性における種差について紹介いただきます.そして,Upendra Argikar博士からは眼組織におけるcarboxylesterase (CES)とN-acetyltrasnferase (NAT)の働きについてお話しいただく予定です.
学会最終日の午前中のセッションですが,最終日まで,有意義な学会となりますよう,多くの皆様のご参加をお待ちしております.
Symposium 9: Non-P450 Enzymes
Co-Chairs: Miki Nakajima, Kanazawa University, Kanazawa, Japan and Bhagwat Prasad, Washington State University, Spokane, Washington, USA
- Quantitative evaluation of contribution of enzymes to reduction of ketone group-containing drugs in human liver
Tatsuki Fukami, Kanazawa University, Japan - Species differences in aldehyde oxidase-mediated drug metabolism and inhibition and their predictions
Seigo Sanoh, Hiroshima University, Japan - Role of CES and NATs in ocular drug disposition (tentative title)
Upendra Argikar, Novartis, USA - Mitochondrial amidoxime reducing component (mARC) in the reductive metabolism of N-O-bonds
Bernd Clement, Christian-Albrechts-University Kiel, Germany